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漆黒堂

人生を無彩色で彩りたい。

前略、テトラポットの上より

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私は、北陸の小さな港町で生まれ育ち、高校卒業後に関東へ単身で引っ越した。

それから早25年、今ではすっかり故郷の言葉など忘れ、むしろ移住先の訛りの方が酷くなってきたっぺよ。

そんな納豆臭い男ではあるが、やはり慣れ親しんだ日本海の潮の香りを嗅ぐと若き頃の熱い血潮が再び滾り、広大な大海原に向かって思わず叫んでしまいたい衝動に駆られてしまうのは、決して忘れることのない海の男の習性なのであろうか。

 

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そんな頃地元では、そろそろホタルイカの水揚げが始まったようだ。

関東でも魚屋に並ぶことは珍しく無いが、やはり獲れたばかりの新鮮なヤツを茹でたてで頂くのは格別である。せっかくならば刺身で食べればいいのにという声が聞こえてきそうだが、最近は寄生虫の兼ね合いで胴体部分は加熱して食べるのが一般的らしい。よって、ホタルイカの刺身とは足の部分だけを食するのが御当地の流儀という訳だ。(※胴体部分も、内臓をしっかり取り除けば大丈夫だが、一匹一匹捌くのが面倒なので釜ゆでにしちまえ!というのが本当の所か?あ、ちなみにお店ではちゃんと胴体部分も刺身として食べます。)

ちなみに、「竜宮そうめん」などと洒落たお名前で呼ばれたりもする。

そんな素敵なゲソ刺しの写真が無いのは、私が帰省したころには既に誰かの胃袋に収まり、残されたのは胴体部分だけであったという残念な事態に見舞われたからだが。

 

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このカタツムリ感がハンパない生命体は、バイ貝の煮つけ。

小さい頃に親父からコレがエスカルゴであると教えられた記憶が鮮明に甦る。勿論私もそれに倣って子供達への英才教育を怠らないつもりだが、よく考えると・・・地元でよく食べるタラの肝をフォアグラと言ってみたり、得体のしれない魚卵をキャビアと呼んでみたり、まぁ中々教育熱心な親父殿であったのだと今更ながら感心する。

まぁ、実物と食べ比べても、何ら味が劣る事のないほどの美味なる食材なのだが。

 

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よし、海に来たからには釣りをしよう!

これは男ならば誰しもが思うハズだ。よって、私も例にたがわず竿を出すことにした。

季節外れのキジハタが釣れたのは嬉しい誤算。小ぶりだが25cmの食べ頃サイズ。その後も小物ながら家族分の合計4匹が釣れた。マグロを釣って帰ると豪語した手前、ボーズだったらどうしようと不安もあったが、何とか面目躍如か?

残念ながらマグロの刺身までは届かなかったが、どうやらこの日は煮魚で一杯やれそうだ。

すると、どうだろう、晩酌のことで頭がいっぱいになりながらテトラポットの上で雄々しく立ち構えていると、私の熱き血潮がまたしてもギラギラと滾ってきた!

ヤ・ヤバい、もう、海の男のDNAが今にも爆発寸前だ!!

抑えきれない衝動は、やがて大地を揺さぶらんばかりの咆哮へと変化する!?

あぁ、キジハタよ、カサゴよ、そして・・

ソイや!ソイや!!ソイや!ソイやっ!!

 

咲きほこるオッサンは、ハゲ散らかすほどに美しい

散った髪の毛は あとは土へと帰るだけ

それならいっそ 鏡を見ずに

てっぺんハゲを 輝かせてみようか