読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

漆黒堂

人生を無彩色で彩りたい。

Tilley X246 "Pork pie"

f:id:shikkokudo:20170312161902j:plain

光と影は表裏一体。深淵の暗闇を照らすからこそ、光は輝いて見えるのである。

そして逆も然り、一条の光明が差し込むからこそ、漆黒の存在が際立つのだ。

故に私は灯りを求めるものなり。

悠久の彼方より、夜の静寂と共にしてきた古の灯を。

 

 f:id:shikkokudo:20170312054045j:plain

これは、1940年代にイギリスで製造された、灯油燃料のランタンである。

少し専門的な話となるが、このランタンのメーカー名は「Tilley」と言い、そのタンク形状がイギリスの伝統的なパイに似ていることから、「Pork pie」の愛称を持つヴィンテージ・ランタンの一つ。骨董品特有の気難しさや入手困難なパーツ等の問題は避けられないものの、この老体が放つ柔らかな灯は私の大切な漆黒の品々を一際輝かせる大切な光源であり、いわば「漆黒堂」における影の立役者というべき存在であろう。

すなわち、当ブログのTOP画像に一番相応しいのは、このランタンをおいて他にないのだ。

 

f:id:shikkokudo:20170312161912j:plain

ところで、この灯油ランタンは昨今のスイッチ一つで点灯する電化製品と異なり、明かりが灯るまで少々手間がかかる。

これまた専門的な事で恐縮であるが、点灯までの手順は以下の通り。

①灯油が気化しやすいように、ジェネレーター(ヴァポライザー)と呼ばれる気化機構を予熱という作業で加熱する。

②十分に予熱を行ったら、次にタンクから燃焼機構へ灯油を供給するために、ポンプで空気を送り込み、タンクの内圧を高める。

③燃料バルブを開放し、マントルと呼ばれる発光機構が無事点灯したら、更にポンピングを繰り返し、タンク内圧を最適な状態とする。

ちなみに、上の画像は予熱の様子。ランタンによって予熱の仕方は異なるが、この機種はプレヒート・トーチというカップ形状の器にアルコールを満たし、それに火を点けるだけ。この時、予熱が十分でないと、灯油が気化されないまま発光機関へ供給され、いわゆる炎上と呼ばれる大変危険な状態に陥ってしまう。まぁ、ちょっとした火事である。

この危険性と手間こそが、マニアには堪らないのだが・・・。

 

f:id:shikkokudo:20170312175210j:plain

深淵の暗闇に佇む漆黒の器、それを照らすのは古の灯。

もう一度言おう。

一条の光明が差し込むからこそ、漆黒の存在が際立つのだ。

光と影は表裏一体。美しき漆黒を求めるからこそ、私は灯りを求めるのである。