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漆黒堂

人生を無彩色で彩りたい。

シンガポール見聞録

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この広い世界の未だ見ぬ場所で、激しい嘔吐にもがき苦しむ一頭の半魚獅子が居るという。治まることのない苦痛に耐えぬきながら、直立不動で雄々しく大海原と対峙するその姿、正に武士道ともいうべき男の美学を目の当たりにし、私は涙なくしてその場に居合わせることなど出来るのだろうか。さぞやお辛いだろうに。

同じく高みを目指す者として、兎にも角にもその御背中をさすって差し上げたい。そう思い立ったが吉日。着の身着のままのいで立ちで空港へと駆け込んだまでは良いものの、機内での暴飲暴食が過ぎたため、現地に着いた頃には私の方がむしろマーライオン状態。家族からの顰蹙を一身に浴びる自称サムライは、そそくさとホテルへと退散するより他なかった・・・。

 

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気を取り直して二日目の朝、何だかテレビで見たことがあるような建物を遠くから眺める私の頭がガンガン痛い。要するに、二日酔いである。しかし、そんなことは口にできるはずもなく、朝っぱらからクソ暑い植物園でヒーコラ言いながら、吐きそうになるのを我慢して散策する私。改めて、半魚獅子の偉大さが身に沁みる。

 

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「ここは何処なの?」と、妻が怪訝そうに訊ねてきた。

タクシーに飛び乗ったまでは良いが、ロクに英語も話せないまま適当に降りてしまったのがこの始末。いわゆる迷子と言うヤツだ。

「ここはシンガポールに決まってるじゃないか。」と答える私。平静を装ったつもりが、却って火を点けてしまったらしい。そして、このあと続いた30分間の沈黙は正に生き地獄であり、身体中の穴という穴から冷たいものが流れ出る様であった。まぁ、おかげ様で二日酔いもスッキリだ!めでたしめでたし。

 

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「おぉ、着いた着いた。」

何とか目的地へと到着したが既に時遅し。百万ドルの笑顔で振り返った私を見る目がヒジョーに厳しい。ここは、なけなしの財布で奮発しなければ、父としての威厳を保てないようだ。もう一度言うが、ヒジョーに厳しい。

 

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と、いう訳で、ガイドブックに載っていた有名店でスウィーツを振舞うことに。

えーと、マンゴーのスノーアイスであったろうか。冷たくて非常に美味であったと申し上げるが、そもそも冷菓は冷たいのが当たり前なので、食レポのセリフとしては失格だ!などと、消沈しきった私に追い打ちをかける様なことは、絶対に控えて頂きたい。

 

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かくして・・・ようやく事態が終息したかと思われた二日目の夜。

二日酔いで弱った胃袋に冷たいものを詰め込んでしまった私に襲い掛かったのは、こともあろうに二頭目のマーライオンであった。それどころか、どうやら今回は下の方からも突き上げるような激痛が。。。

その時だ。もはや呆れ果てる家族を文字通り尻目にし、今やトイレの住人となり果てた私に対し、ホテルの前に仁王立ちするあの御方から尊いお言葉が聞こえてきた気がするぞ!?

「未だ見ぬ異国のサムライよ、ゆえにワタシの半身は魚体なのである。」と。

あぁ、御背中をさすって差し上げるつもりが、逆に私の情けない背中をさすって頂くことになろうとは・・・

全てに合点のいく瞬間であった。

(※この後、三日目~四日目とイベント盛り沢山の旅行ではありましたが、もうレポする元気は御座いませんのであしからず。)